大学院に進学してはならない理由5選【修士・博士】

はじめに

この記事は現役の東京工業大学大学院生である私が感じた大学院に進学してはならない理由をランキング形式で紹介するものである.日本で大学院進学に迷っている方や,研究生活にうんざりしている人にとって参考になる内容である.

大学院に進学してはならない理由

1.経済的援助がほとんど無い

国公立大学,私立大学共に年々学費の増加傾向が見られる.東京工業大学を例にとって考えると2020年現在,年間の授業料は修士課程博士過程共に635,400円である.ここ数年でも約10万円値上げされた.

一方,奨学金についても貸付型がほとんどで,授業料免除申請の手順も複雑でweb申請,一次二次申請とあり条件も厳しい.

給与という面では,修士過程の学生は基本的には支払われない.博士課程の学生では給与が支払われるケースがあり,東工大の場合は給付型の奨学金という形で月4万円を受け取ることが可能である.しかし,それだけで年間の学費を賄うことは難しく,別途学内でRAやTAという形でバイトをしたり,外部でバイトを行いながら生計を立てる学生が多いのが現状だ.

2.就職先の幅が狭まる

まず,企業へに就職が遅れる.修士過程で2年,博士課程まで含めると最低でも5年,通常の新卒就職と比べて遅れることになる.前述したような学費を追加で払っていると考えると初任給で数万円の違いはあるものの,20代の社会人としての経験の少なさを埋め合わせられるだけの足しになるか疑問が残る.

さらに日本の企業では博士号の求人も充実しておらず,研究者などスペシャリストとしての職種に就くことは容易ではない(専攻によって大きく異なり不安定).

自分自身についた修士号・博士号というレッテルを自覚せざるを得ないため,研究職以外の様々な職種にチャレンジする機会が失われ,自らの手で就職の幅も狭まめてしまうだろう.

3.活動コミュニティが狭い

研究活動は基本的には1人で進行させる.週に一回,または月に一回,一般的には10数人の研究グループで研究発表をするが,各々の研究の方向性が各々異なっているため,共同で研究をしている意識はとても低い.

数人にしか読まれない(誰にも読まれない可能性もある)報告書を自分で書き,研究内容を誰かから批評されるために体裁を整えてまとめる.自らの探究心や好奇心を追い求めるというよりは,”どのような評価を受けるか”の方に意識を向けざるを得ない.

加えて,安易に不特定多数向けに自分の研究内容を(ブログや動画メディアで)発信することは禁止され,研究室という檻に囲われて日々生活しているような状態である.誰でも気軽に発信でき,それが価値となる現代において非常にストレスを感じている人も多い.

4.ブラック研究室に配属するリスク

所属研究室が理不尽な理由で移動となるケースが多い.修士課程でも学士過程と同じ研究室を志望していたのにも関わらず,希望の研究室を外されるなど多々発生する.

パワハラをする教授,都合の悪い学生の質問に対して無視をする教授.狭いコミュニティで同期や教授との人間関係に問題が発生した場合の対処は難しく,運要素の強い研究室配属は常にリスクを孕んでいる

5.精神疾患を抱えやすい

1〜4までの理由から起因して,うつ病などの精神疾患を患う恐れがある.「博士課程進学が戦争に行くより危険」と揶揄されるように,大学院生の失踪・自殺率は低くない(参照元).

身の回りの学生を見ても,抑うつ状態に近い学生が散見される.現に私も大学入学後6年目となるが,修士課程の2年間は学士課程の4年間より比べ物にならないほど辛く,憂鬱さを日々感じる.大学の在籍年数と抑うつ症状保有者数に正の相関が見られるように(参照元)大学に在籍する期間が長ければ長いほどメンタルヘルスが悪化する傾向があると言われている.

この事は,これまでに述べたような経済的負担×就活×ひきこもり研究活動の三重苦がもたらす結果であろう.さらにコロナ禍も相まって大学院生にとっては苦しい生活が待っていることは間違いない.

まとめ

知り合いの博士課程の先輩の言葉を引用させていただくならば,大学院生は「登録者10人のYoutuber」という表現が適している.そしてその登録者数は決して増えないものだ.

悲しいことに,この厳しい現実を乗り越えられる援助や介入措置などは今のところ,殆ど見受けられない.ストレスマネジメントに関しても自分自身で行わなければならない.

一つの解決法としては,メリットに目を向け,前向きに捉えることでメンタルを安定させていく方法だ.こちらの記事では,大学院進学のメリットについても列挙している.そちらも合わせて考えることで,大学院進学が果たして吉と出るかあなた次第で変わってくるであろう.

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この記事を書いた人

正田 孝平

メーカー勤務 ソフトウェアエンジニア
AI,IoT,web最新技術の活用術、キャッシュレス決済と資産運用の最新トレンドや語学学習法について発信。大学在学中は人力飛行機の製作、webアプリ開発に積極的に携わった。
【趣味】
ゴルフ・温泉巡り